KHE国際特許事務所
事例紹介


技術を理解しない安易な翻訳により生じた失敗

世界的な家電メーカA社はDVDレコーダのデータ転送の基本特許についてPCT出願をして主要国で特許権Pを得た。しかし、日本国だけは日本の大手家電メーカB社の通信技術の特許発明を引用してA社の出願は新規性欠如を理由に拒絶された。A社はこれを不服として、拒絶査定不服審判を請求したが認められなかった。元のPCT出願は英語で記載されており、日本出願の日本語翻訳においては原文の技術用語とその技術表現が不正確であり、拒絶理由通知に対する補正においても公知技術に用いられている表現を用いて記載していた。そのため、新規性違反を解消できなかった。その結果、A社は特許権Pに基づくDVDの開発についていてB社に技術提携を要請することができなくなった。

A社の失敗の原因

A社の発明者は日本語が読めないため、日本語の明細書の内容が理解できなかった。一方、日本語翻訳を作成した日本の代理人は技術の理解が不十分であった。また、補正内容について発明者と代理人の適切なコミュニケーションができていなかった。