KHE国際特許事務所
事例紹介


周辺特許の重要性の認識を欠いたことによる失敗

大企業である素材メーカA社は、他社に先駆けて高機能樹脂フィルムの製造技術の開発に成功し、その後、同フィルムの用途開拓を行い、そのフィルム材料の特性を活かした3つの用途分野で、当該フィルムの製造販売の事業準備をした。しかし、その用途技術については新規性及び進歩性の観点から他社が特許権を得るのは困難と安易に判断していため、他社技術の調査、他社技術に対する対抗及び回避技術の開発を行わなかった。事業開始後、一つの用途分野では、その用途発明についてはA社の競合メーカであるB社が特許を保有し、後発的にその用途分野で本フィルムを供給する計画を持っていることが判明した。そのため、A社製のフィルムの品質が優位にも拘わらず、当該分野での事業を断念せざるを得なかった。

A社の問題点

特許権取得が困難と予想されても、周辺技術の権利化を検討すべきであった。そうすれば、他社の特許権に対して、早期に技術上及び事業上の対策を立てることができた。特に、画期的な特性を有する材料である場合には用途発明の開発と特許権の取得、他社特許の調査と対抗技術の特許化を通じて幅広い権利を獲得すべきであった。